鳥取市歴史博物館で開催中の「記憶遺産 濵崎少年のみた はるかな鳥取」を観に行きました。平成22年に95歳で亡くなられた濵崎道治さんが、60歳のころより描き始められた大正末期、昭和初期の鳥取のスケッチの数々がたくさん展示されていましたが、ここにあるもの全て、見ながら描いたとか、資料を元に描いたとかではなく、濵崎さんの幼少期から脳みそに刻まれた風景をアウトプットしたものというのだから、もう驚きでした。

特に商店街の家並み。一軒一軒、どこにどのような商品が陳列されていたとか、どんな看板が掲げてあったとか、家先に置かれていたもの、店主の好みなど細かなことがイラストと文字で描かれている。どうやってこんなに鮮明に覚えていられたのか・・・。

この詳細なイラストの再現によって、当時の商店の様子がよく分かるし、煮売り屋、折り箱製造、古本屋、傘修理、木炭問屋、下駄屋・・・など今では廃れてしまっている商売の豊かさ、アイスケーキや洋食屋などハイカラなお店。それらを見ているだけで、わくわく!そして「何のために絵を描くのか」を自分自身に今一度問い直したい気分になりました。

これだけ幼少期の記憶をなぞるように頭に描ける濵崎さんがうらやましい。私も一瞬一瞬を頭に刻み込み、いつか地に伏すとき、脳内の記憶をめくりながら旅立てたら良いな。そんな気持ちをどこかに持って生きていきたいと思いました。

私も見習って、日南町に住んでいた小学校時代の登下校に通る道を思い出してスケッチしてみました。

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