とっとりのへび伝説:赤松の池
【とっとりのヘビ伝説紹介:赤松の池】 (西伯郡大山町大山赤松) むかし松江の殿様に仕える松浦頼母という家老がおり、日頃から子どもが欲しいと願っていました。そこで霊験あらたかな赤松池大明神にお参りしたところ、女の子が生まれ、お初と名づけました。 時がたち、お初はこの辺りでは評判の美しい娘となりましたが。藩主松平候の目にとまり、妻に欲しいと要望されました。藩主の願いは断れないので、両親はお初をお城へ上げることとなりました。これを知ったお初は悲しみましたが、 「お城へ召す前に、私が生まれるように祈っていただいた赤松大明神へお参りをさせてください。」 と願いました。 赤松池参りの日は、朝から晴れ渡り、池は青々とした清らかな水を満面にたたえていました。池のほとりで乳母が、 「お嬢さま、この池の水を髪につければ美しい髪になりますよ。」 と言い、言われるままにお初が髪をすいたところ、ひと櫛すくごとに段々と髪が長くなり、みるみる水面をはっていきました。やがてお初は岸を離れてするすると水面を歩き出し、とうとう池の中心まで行きつきました。すると、突然大きな渦が巻き起こり、水中に沈んでしまいました。驚いたお侍や乳母は、 「お初様、もう一度その姿をお見せください。そうでなければ、帰ってお殿様に申す言葉がございません。」 と祈ったところ、再び大きな渦が巻き起こり、腰から下を蛇に変えたお初が現れました。そして、 「私は、この池にすむ大蛇です。頼母があまりにも強く願うので、しばらくの間、人間に姿を変え、人の世に身を置いていましたが、今、元の姿に戻る時が来ました。長い間育てていただきありがとうございました。これから先、私に祈りをささげる人には、必ず幸福を与えましょう。」 と言い残し、水中深く沈み、二度と姿を現しませんでした。 [...]